EP却下の主因「業務内容の不一致」とは?シンガポールMOMが注視する審査基準と企業が取るべき実務対応を徹底解説
序章:EP却下が増える背景と「業務内容のズレ」
ここ数年、シンガポール人材省(MOM)はEP(Employment Pass)の審査を一段と厳格化しています。特に2023年以降は、給与や学歴だけでなく「業務内容が役職にふさわしいか」を重視する方向にシフトしています。 MOMが2024年に公表したレポートによると、EP申請の約16%が却下されており、そのうち約30%は「業務内容と役職の整合性に問題があった」ことが理由とされています。(出典:MOM Annual Employment Report 2024) つまり、給与基準を満たしていても、実際の業務が役職に見合っていなければ却下される可能性があるということです。
Section 1:業務内容の不一致とは何か?
業務内容の不一致とは、申請書に記載した職種・役職名と、実際に行う業務内容が一致していない状態を指します。
典型的な例
| 申請職種 | 実際の業務内容 | MOM判断 |
|---|---|---|
| Marketing Manager | SNS更新、資料作成、投稿スケジュール管理 | 業務レベルが低い |
| Finance Executive | 経費精算、伝票処理 | 補助的と判断 |
| Business Development Manager | 顧客訪問補助、見積作成 | タイトル過大 |
MOMは、役職名(Title)=責任範囲 と捉えています。そのため、役職が上級でも、実務がそのレベルに達していない場合は「整合性がない」と判断されます。
Section 2:EP却下につながる3つの誤り
1️⃣ 役職名を過大に英訳してしまう
「主任」や「係長」を“Manager”や“Director”と英訳することで、実務との乖離が生じる。
→ 対応策: 英訳は責任範囲ベースで定義する(例:「Senior Executive」「Supervisor」など)。
2️⃣ JD(職務記述書)の表現が曖昧
「サポート」「補助」などの言葉はMOMに「ジュニア職」と判断されやすい。
→ 対応策: 「企画」「分析」「管理」など役割と判断権限を明確にする。
3️⃣ 給与と職務レベルの不整合
Manager職で$4,000未満など、給与が低い場合は不整合と見なされる→ 対応策: COMPASS基準の職務レベルと給与帯を一致させる。
Section 3:専門家・データが示す最新トレンド
2024年のHRM Asiaレポートでは、EP却下理由の第1位が「職務整合性の欠如」であると報告されています。
また、MOMはAIを用いた自動分析で、提出されたJDのキーワードを解析。上位職語が少ない場合、内部的にリスクスコアを加算するといわれています。 専門家は「今後、EP審査は文面解析を含む“アルゴリズム審査”へと進化する」と予測しています。
Section 4:企業が取るべき実務的対策(DCCグループの見解)
DCCグループでは、以下のプロセスを推奨しています:
- 職務記述書(JD)の見直し
申請前に第三者目線で内容を精査。曖昧な表現を排し、責任範囲を明確化する。 - 役職・給与・職務範囲の整合性確認
MOMのCOMPASS基準を参照し、実務に即したポジション定義へ修正。 - 翻訳テンプレートの統一
和英間で誤解を生じやすい役職の翻訳を見直し、和英対応表を整備し、担当者間の認識差をなくす。 - 再申請時の補足書類作成
却下理由に基づき、説明文(異議・補足レター)を添付し再申請を行う。
結論:肩書きではなく「中身」で評価される時代へ
EP審査は、表面的な肩書きではなく「実際の業務内容」で判断される時代に入っています。
企業が求められているのは、「役職名をどう魅せるか」ではなく「実務をどう伝えるか」です。
あなたの申請書、最後に誰の目線で確認していますか
MOMの基準から見て、ズレはありませんか?
