シンガポール↔日本のビジネスアイディアを考える(Vol.3)
当社では日頃からM&Aビジネスの成長期にあるローカルビジネスや日系企業でシンガポールや東南アジアに進出を図るクライアント企業の支援をしている関係で、「成長している事業」にふれる機会が多いため、よくクライアント企業の皆様(現地ローカルビジネスオーナーや日系進出企業の両方)と新規ビジネスの話で盛り上がることが多いです。

当社では日頃からM&Aビジネスの成長期にあるローカルビジネスや日系企業でシンガポールや東南アジアに進出を図るクライアント企業の支援をしている関係で、「成長している事業」にふれる機会が多いため、よくクライアント企業の皆様(現地ローカルビジネスオーナーや日系進出企業の両方)と新規ビジネスの話で盛り上がることが多いです。
その中でこんなビジネスは面白いねと盛り上がったお話を皆さんにシェアできればと思います。結構みんな考えることは似ていると感じるところはあると思いますが、その中にあるちょっとした現地の工夫をヒントとして活用頂ければ何よりです。
知的財産権などの売買を促進するプラットフォームビジネス (不景気を追い風に)
シンプルな市場理解(シンガポール)
シンガポールでは毎年1月~2月に、年度予算案(Singapore Budget)の発表があり、経済・雇用対策や助成金、各種行政ルールの変更など詳しい説明が行われます。Big4などの大手監査法人はこれらの解説を詳しく行うセミナーを発表後に開催しており、Singapore Budgetの発表内容で政府方針理解をしながら現地のビジネスを進めていく多くのスマートな会社が存在します。
Intellectual Property Development Incentive (IDI)はご存知でしょうか?
2024年度のシンガポール予算発表で、現首相のLawrence Wong氏が大臣を務めていたMinistry of Finance(財務省)から発表があった大型投資向けのRefundable Tax Incentive (リファンド可能な税制優遇) の中に小さく含まれていたIDI(知財開発優遇措置)はご存知でしょうか?
変更点のみシンプルに説明すると、シンガポール国内で知財権開発(無形固定資産と表現されています)にかかるコストに対して税制優遇が行われるものです。詳しい情報自体はシンガポール税務署(IRAS)に掲載されていますが、この措置の中心となっているのはEconomic Development BoardとEnterprise SGと呼ばれる組織で外資誘致が彼らのミッションということも頭においておく必要があるでしょう。
シンガポールという国がIP Rights (知的財産権)における国際ハブになるという目標を一歩一歩進もうとしていることは今回のトピックを理解する上で重要です。
商標や知財に強いシンガポール弁護士友人との話
さて、筆者も東南アジア出張が多く、なかなかシンガポールに戻れない時期があり、たまにシンガポールに戻ると仲の良い業界関係者の知り合いとキャッチアップすることが増えています。
ちょうど2年頃前に、友人であるシンガポール国内でもトップ3に入る知財専門の弁護士(Dさん)とキャッチアップしたときのお話しを皆さんにご紹介したいと思います。
Dさんも東南アジアや香港への出張が多く、シンガポールの国の団体から派遣されてシンガポールの知的財産権保護の環境作りの取り組みなどを教えるなど、視野が広くビジネスマインドも旺盛な人間です。
Dさんとは、よく今後の市場やどのような業界が伸びていて、またはどのような業界が衰退にあるかなど、マクロの視点での情報シェアをする仲で、お互い今旬なビジネスの話をして意見交換をした中でのお話しです。
「最近、会社清算の案件が増えているね」
ちょうど、2年頃前でコロナ禍を生き延びた事業が伸びるか衰退するかの瀬戸際にあり、衰退企業(会社清算や法人閉鎖手続き等)が増えている兆候がでていた頃です。実際に当社の資本パートナー先では清算業務を専門に対応している部門もあり、そのパートナーからも同様の傾向でした。2年後の今、統計上で見てもやはりその兆候は当たっており、シンガポール国内でのコロナ明けである2021年度~2022年度は毎月3,000~4,000社の清算件数を推移していましたが、2023年8月に5,000社オーバーになり、現在では安定して4,000後半~5,000後半を推移している状況です。清算手続きには6ヶ月~18ヶ月かかるケースが一般的なため、タイムラグが生じてはいるものの、これから更にこの傾向は加速するでしょう。

清算企業に眠った無形固定資産
この会話の中で、Dさんにも、同じ弁護士事務所内で清算業務(リーガル関連)を担当している人から清算予定の法人が少しでも現金資産の回収ができるように「無形固定資産」を売れないかなぁとの相談があったようです。それらの法人には他社へ売却すれば事業に活かせる「顧客リスト」(←もちろん個人情報保護法DDが必要となります)や、「自社業務を効率化するために開発されたモジュール」、旅行業に多い「取引先が限定されている貴重な契約書」など、現金化ができそうな無形固定資産が眠っているとのことです。
IP評価をした上での「無形固定資産」売買プラットフォーム
Dさんの強みはこのような案件発掘が弁護士事務所内で完結することです。その上で、販売側のDDをしながら価格設定をするという作業が可能です。 このプラットフォームの話を筆者にしてきた理由は、当社がかなり前から同じ無形固定資産である「のれん資産」の評価をクロスボーダーで実施してきたことをDさんも知っているので、どのように評価したらよいかとの相談もあっての事でした。
ここから二人で真剣にディスカッションをします。キャッチアップしていた場所がシガーバーでしたが、紙とペンを取り出しブレストを開始しました。
プラットフォーム収益によるビジネスモデル
このビジネスモデルはECプラットフォーム同様、売買価格 x ◯%という単純なビジネスモデルを想定していたため、二人とも評価額を高くすることばかり考えて一息いれました。
一般的な「のれん評価」は「無形固定資産」が生み出す収益に対して評価するものであり、今回のような売却元が清算手続きに入っているような資産には適していません。
また、簿価評価を実施するとしても、それらの「無形固定資産」を作り上げるためにいくらかかったのかなど(特に、人件費が主要コストの場合は分解と証明が困難)、フルに実施するファイナンスDue Diligenceのような費用をかけている状況ではありません。(法人清算を考えている企業に、いくらで売れるかわからないのに評価費用がいくらかかりますでは本末転倒のビジネスモデルになります)
プラットフォーム上の妥当性を検証し、よりシンプル且つ現金化をしやすい評価方法・基準を喧々諤々とディスカッションしていました。
価格設定方法はDさんの企業秘密になるためここでご紹介することはできませんが、ヒントはシンガポールのIPOS (Intellectual Property Office of Singapore)
内にあり、Dさんと筆者と二人でかなり腹落ちし、乾杯して終わることができました。
現在、DさんによるとInstitutional Investors も決まり、事業化に向けてのプラットフォーム開発を実施しているとのことで、待ち遠しいですね。
今後も、日本国内外の企業様、お客様の経営に寄り添い、コーポレートアドバイザーとして、常に国内外最新の情報を皆様にお届けできる益々の支援体制構築することに精進する所存です。
