シンガポール↔日本のビジネスアイディアを考える(Vol.1) 

当社では日頃からM&Aビジネスの成長期にあるローカルビジネスや、日系企業様でシンガポールや東南アジアに進出を図るクライアント企業の方々の支援をしている関係で、「成長している事業」にふれる機会が多いため、よくクライアント企業の皆様(現地ローカルビジネスオーナーや日系進出企業の両方)と新規ビジネスの話で盛り上がることが多くございます。

当社では日頃からM&Aビジネスの成長期にあるローカルビジネスや、日系企業様でシンガポールや東南アジアに進出を図るクライアント企業の方々の支援をしている関係で、「成長している事業」にふれる機会が多いため、よくクライアント企業の皆様(現地ローカルビジネスオーナーや日系進出企業の両方)と新規ビジネスの話で盛り上がることが多くございます。 

今回は、その中でこんなビジネスは面白いねと盛り上がったお話をシェアできればと思います。みんな考えることは結構似ていると感じるところはあると思いますが、その中にある「ちょっとした現地の工夫」をヒントとしてご活用いただければ何よりと存じます。

不景気に強いビジネス (マイクロ教育ビジネス)  

シンプルな市場理解(シンガポール) 
まずは前提条件としてシンガポール市場の特徴を考察したいと思います。 

  • 市場規模が小さい→500百万人市場(横浜市と川崎市と足したイメージ) 
  • 人件費と家賃が極端に高い(固定費との戦い) 
  • 消費者は英語と中国語が堪能なため、情報量が日本の消費者に比べ格段に高い 
  • エリート主義の傾向が強い 

などがよく挙げられ、所得や教育水準などは日本よりはるかに上回っていると考えての取り組みが必要となります。東南アジア諸国は新興国と呼べますが、シンガポールは既にその域を遥かに超えているといえます。 

また生活費・教育費の高騰により10代の若者世代が極端に減っていることもシンガポール市場の特徴です。 

出典: 世界の人口ピラミッド(1950~2100年)

なお、マクロの環境下においては世界的にみて2024年から2025年にかけて経済の低迷が見通されており、今まで成長していた事業においても(特にリテール業界を中心に)この勝ち組と負け組が明確になっている流れは継続していくと思われます。 

2008年のリーマンショックに登場したAIRBNB 

不景気に強いビジネスで振り返ると世界的な経済へ影響を与えた2008年のリーマンショックが直近のイベントとしては類似性があると考えた場合、リーマンショック1ヶ月前に創業したAIRBNBが注目されます。 

かなり以前から、俗に言う「シェア・エコノミー」のコンセプトというはありましたが、逆風の波にのった感じがあります。 

シンガポールで幼稚園を経営しているローカルのビジネスオーナーとのお話 

最近、M&A案件の仕入れのためシンガポールで複数の幼稚園を経営しているビジネスオーナー(Mrs. Gさんと呼びます。)とお話をする機会があり、まさしく前述の人口ピラミッドの影響を直接的に受けているビジネスと感じました。Mrs. Gさんによれば、コロナ禍の一定のベビーブームにより事業的に救われた点もあったが、幼稚園経営の「家賃の高騰」と「人件費(先生)の高騰」が価格転嫁に追いついておらず、お子様の数も減っているということで、かなりの逆風の中、売上は減少しているが、園児数は横ばいで「サバイバルモード」にあるとのことです。 

Mrs. Gさんは日本の「公文式」の大ファンで、幼稚園事業をやりながら仕組み化プラスαを常に考えるタイプのオーナーで新規ビジネスの話題としては沢山のアイディアを出しながら、2時間くらいコーヒーを飲みながらお話しました。 

今の教育現場や方針への憤り 

幼稚園児という頭が最も柔らかい世代を相手にしてきたMrs. Gさんだからこそ、説得力があるなと感じたのは、既に子どもの頃からiPadを自由に使いYouTubeを観て、簡単な回答を求める傾向が顕著にあらわれていることです。 

Mrs. Gさんご自身も幼稚園経営をする上で、「親が求める教育」と「子どもにとって本当に必要だと自分が信じる教育」との葛藤の中でこれまで事業をされているところ、親御様は特に「ルールに従う子」や「回答を正確に出せる子」への関心が高く、良い点数をとり、良い大学に入り、良い管理職に就くという価値観による教育を良しとする姿勢に、当事者として日々直面しているとのことです。時として経営者として直面するのが、「やりたい事」と「稼げる事」は異なると結論付けることです。 

何がやりたいの? 

Mrs. Gさんの葛藤の中で、子どもに対する想いとして、「考えられる大人になってほしい」、「自分で価値観をしっかり選べる大人になってほしい」という想いを鮮明に感じることができました。その想いは彼女の経営する幼稚園でも少なからずコンテンツとしては提供されているようで、一言でまとめると「No Answers」というオモテには出していないカテゴリーで少しずつカリキュラムにしていたようです。 

不景気に強いビジネス /マイクロ教育ビジネス=No Answersの誕生! 

聞くところによるとNo Answersという裏コンテンツは500以上も存在するとのこと。このコンテンツの特徴は名前の通り「正解のない子ども向け質問集」で、幾つか見せてもらいましたが、大人でも難しく感じる質問かもしれません。例えば、「犬は何をしてあげると喜びますか?の次に犬は何をしてあげると悲しみますか?」など、動物の感情についての質問や、「どうすれば高くジャンプすることができる?」などHowやWhyの質問が沢山ありました。大人が答えてしまうと直ぐに正解を出そうをする悪い癖がついているなと私自身実感するものばかりです。 

Mrs. Gさんは、この裏コンテンツが好きだった子ども達の成長した姿も見ているので、正解のない質問が好きな子は正解のある学習にもの足りなくなる傾向があり、得意科目も極端になっていく子が多くなるようです。 

このような話をしている時のMrs. Gさんは先程までの葛藤時と別人になった顔つきをしており、楽しくて楽しくてしょうがないという雰囲気に変わります。 

そして経営者の顔になり、このコンテンツをビジネス化したいと話していました。 

『これらのコンテンツをYouTubeなどで無償提供して「広告モデル」にしても、結局YouTubeが儲かることに援助しているだけになりビジネスリスクとして残るだけ。「広告モデル」主導は長続きしない。独自に経営する幼稚園でのキラーコンテンツとしたとしても、これらをうまくファシリテイトできる幼稚園の先生のトレーニングが(いつまでたっても開始はできず、ノウハウを落とし込んだら盗まれるかも心配。)、、、やりたい事の核は俗に言うCreativityを高めたいという目的とも少し異なるし、など様々なハードルに直面してきました。』と。 

ビジネスとなるとMrs. Gさんも私も真剣です。上記のようにアイディアブレストをした結果、2点の重要な指標に辿り着きました。 

  • 子ども自身に楽しんでもらうこと(親はステークホルダーとしては一旦無視する) 
  • ユーザーのEngagementを強みにしたユーザーベースをビルドアップすること 

ちょっとした現地の工夫 

よいコンテンツを提供したからといって、子どもたちが主体的に集まってくるとは限りません。ユーザーが集まらないと事業としては広告費がかかるのみで、継続性も収益性も見込めません。プラットフォーム自体はYouTubeでも他の動画配信サイトでも構いませんが、数ある子ども向けコンテンツの中で、どのようにして楽しんでもらうか(事業的な言い方をすると集客の決め手となる仕組みは?)というディスカッションの中で、そういえばクイズ番組の「Family Feud」(アメリカのクイズショーで100人に聞いた結果ランキングの回答をあてていく番組)って面白いよねという脱線から、その逆をやりましょう! 

正解はないが、全体の3-5%の回答をMost Valuable Answersとして、それらの回答をしたユーザーには子ども向け商品のディスカウントバウチャーやポイントを付与する形をとりましょう! 

現在もコンテンツと子ども向け商品のプラットフォーム企業との提携交渉などを行うMrs. Gさん。続報をするのが楽しみです。 

今後も、日本国内外の企業様、お客様の経営に寄り添い、コーポレートアドバイザーとして、常に国内外最新の情報を皆様にお届けできる益々の支援体制構築することに精進する所存です。